緊急手術

がん

 

 

手術の時は、現実逃避に必死で、あまり細かくは覚えていないです。

 

とにかく無心に、馬鹿になって、状況を把握しないこと

自分事でなく他人事として考えることに注意を向けていました。

 

今市民病院にいて、異例の緊急外科手術を受ける、なんて思わないように

でも実際は、採血の管が腕に繋がれたままの状態です。

 

ベッドで寝たまま手術の危険性の説明をされ、

両親も覚悟を決めたように同意しました。

命を落とす危険があるとか、○%でどうなるとか、

みんなが色々言っていた気がしますが、私は聞かないようにしていました。

 

ベッドが移動されエレベーターで地下の手術室まで移動しました。

 

最後に見送られてエレベーターが閉まる時、

母が平静を装い切れておらず、父が本気な堅い顔をしていました。

私は2人の顔を見てこれから起こることを現実的に悟ってしまい、焦って、

今ここから逃げようとしたらどうなるかな…と考えてしまいそうになるのを

必死に抑えていました。

 

私が向かった所は地下で、とにかく透明で灰色っぽい青白い空間で、

ガラス張りの部屋とドアが何個も繋がっていました。

思っていた手術室のイメージとは違って、海外の生物学とかの研究所みたいでした。

 

これから手術を行うことを簡単に説明され、人がいっぱいいる部屋に入りました。

医師のような人が2人ぐらい、全部で10人ぐらいはその場にいた気がします。

こんなに大勢の人がいるのなら大丈夫かも、と

その時初めて現実にほんの少し目を向けて安心できました。

 

みんな何か袋や器具を運んでいて、

上からとてつもなく大きなライトの光が照らされました。

 

テレビで見たことのある透明なマスクを付けられて、

麻酔を回すため深呼吸を5回ほどしてください、と言われました。

 

今でも覚えていますが、

この全身麻酔が、すぐに効かなくて本当に焦りました。

 

1回、2回…と深呼吸して、麻酔効いて、早く効いて、と念じていました。

でも、4回目の深呼吸をしても意識がありました。

あと1回で5回終わっちゃうけど!え、大丈夫!?と本当に焦りました。

 

このまま麻酔が効いたと判断されて、

このままお腹を切られて痛みを感じたらどうしよう!

先生気づいて!マジで!と焦っていたら、

その後すぐに気を失っていたみたいです。(笑)

 

今だから笑えますが、

当時は一瞬だったはずなのにすごく長く感じました…

 

腹痛が起こったその日の夜に、

突然、全身麻酔・卵巣摘出だったので、本当に怖かったです。

 

あの時は本当に焦りました。麻酔が効かないんじゃないかと…

 

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